日本時間6月20日午前3時FOMCの議事要旨が発表されました。
米中貿易戦争や6月の弱い雇用統計を受けて7月利下げの思惑をはらんでおり、株価が敏感に反応する環境での会議です。
事前環境
3月のFOMCでは利下げはとりただされておらず、むしろ利上げするか?といった雰囲気でした。
そんな中で米中貿易協議が5月にまとまらず、対中輸入2000億ドル規模の第2弾追加関税の10%から25%への引き上げといった第三弾措置やトランプ大統領が第四弾として3000億ドル規模の残りの対中輸入品ほぼすべてに対して関税25%をかける計画を打ち出し、早ければ7月頭に発動される恐れがあります。
また、米国雇用環境については失業率が3.6%と歴史的低水準を記録するなか雇用統計については予想の19万人増を大きく下回る7万人増にとどまり、すぐにリセッション入りといったことはないものの、米中貿易戦争の影響も加味すると景気減速の恐れが心配される状況となりました。
それに対してFRBが予備的利下げを打って、景気の下支えをするのではないかといった思惑が雇用統計発表後から強まり、市場は7月利下げを80%以上の確率と織り込み、6月FOMCで利下げへの道を開くのではないかといったコンセンサスが形成されます。
それを受けてのFOMC。
どのような議事要旨が出てくるのか非常に注目される会合となります。
結果
6月のFOMCの結果は市場予測を上回るものとして受け止められたようです。
議事要旨発表前のVIXは15.5程度と前日から0.3ほど高く推移し、想定外の結果に備えていましたが、発表後急速に落ち込み14.2を付けるまで低下しました。
また、既に織り込み済みと想定されていたニューヨーク株についても反応に当初迷いがあったものの、最終的には小幅高で引け、良好に受け止めたようです。
詳細な結果としては以下の通りです。
FF金利誘導目標 2.25-2.50%
政策金利判断について「辛抱強くなる」の文言を削除
全会一致でなく1名が利下げを求める
メンバー17名中 8名が利下げ、8名が現状維持、1名が利上げを予想
年内に最大0.5%の利下げを示唆
日本時間
この結果を受けて日本市場はドルが低下して円高になり1ドル108円台を割り込む展開を見せています。
日経平均も上昇し、21,400円を回復。
G20を控えてもなお強含む構えです。
G20
これでトランプ大統領は習主席と遠慮なくディールをすることができる環境が整いました。
トランプ大統領の利下げ催促に対して7月利下げ実施に含みを持たせたFRB。
ECBドラキ総裁も緩和に含みを持たせる発言を前日にしており、世界的に金融緩和方向に回帰していきそうと予想します。
米中貿易戦争が早期に解決すればその必要性も薄くなるかもしれませんが、現状では望みは薄く、米中とも長期戦に備えた構えをとっており、事態の収拾がどのような形で成るのか見当もつきません。
習主席はG20を前にし、北朝鮮へ国賓として訪問して金委員長に合うとしていますが、議論されるのはおそらく非核化ではなく対米強硬路線の結託であると考えます。
さらにそれをカードにしてG20でトランプ大統領に対しようといった思惑なのでしょうが、トランプ大統領も屈しないでしょう。
貿易戦争の本題は貿易慣行の不正をただすといった大義名分ではあるものの、結局は中国の台頭阻止と共産党1党独裁体制への打撃を与え、中国を民主化することにあると思います。
それを暗示するのが香港での逃亡犯条例の問題を協議内容に加えるといった報道です。
今後の想定
現在想定されているシナリオの中で、一番ありえそうなのが米中貿易戦争の激化と考えます。
というのも、お互いに一歩も引きさがれない戦いに突入してしまっているので良くて休戦しかないのではないかとみているためです。
習主席としては弱腰な姿勢は現体制の維持をぐらつかせますし、トランプ大統領も中途半端な妥結は主目的からはずれる為取らないでしょう。
また、5月の会合では中国側は追加関税の俗事撤廃を求めていましたが、これも貿易の不公正を大義名分にしているからには検証期間は維持といった大原則から譲れないと思います。
結局はお互いどちらが最後に立ってるかのチキンレースの様相は変わりようがないと想定してます。
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